2012年4月30日月曜日

スプラトリー騒乱

 最近、というか近年、スプラトリー諸島をめぐってのベトナム・フィリピン・中国の間で領土問題が熱い。

 スプラトリー諸島とは東南アジアに位置する島々で構成され、周辺各国と中国・台湾が領有権を主張している。

地図で見ればこのあたり
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そのうち中国は以下の島々の領有権を主張し、関係各国と揉めている。

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(排他的経済水域は中沙諸島が中国領だと仮定して設定されていると思う。)

 近年、中国の経済成長が著しく、軍事費の伸びも同様に著しい。そのため、中国の「主権を守ろう」という意識の中、尖閣諸島や南沙諸島において国際紛争が加熱している。最近、南沙諸島においては、ベトナム・フィリピンと中国の間で国際紛争が熱を帯びている状態になってきている。

今回は3カ国の知っているだけの情報を書き込もうと思う。

ベトナム

 
 

 ベトナムと中国は犬猿の仲と言っても過言ではない歴史を共有している。その証拠に、ホーチミンシティの主な通りには中国の歴代王朝と元から国を守った英雄たちやその仲間の名前が用いられている。

 日本において、ベトナム・中国間の紛争では、ベトナムが勝った中越戦争が有名だ。しかしながら、中越戦争後に起きた中越国境紛争やスプラトリー諸島海戦でベトナムは中国に敗退した。また中国の経済躍進からベトナムと中国の軍事的な関係は必ずしもベトナム優位なものとは言えず、今日に至っている。

 
 ベトナムはインドやベトナム戦争で戦ったアメリカとも積極的に交流を行うようになり、
関係を築きたいと考えている。また、2002年5月までロシア軍が租借していたカムラン湾で、ベトナム政府は外国海軍の船舶向けにサービスを提供しているようで、他国との関係を構築することにより、中国への牽制に繋げたい思惑があるのではないかと私は考えている。このようにサービスを提供すれば、米露日印の軍艦がカムランを使用することができるだろう。

 ベトナムの立ち居地は対中で決して有利ではなく、他国との協力体制や集団的な安全保障の可能性を認識していると考えられる。

フィリピン

 
 フィリピンもベトナムと同様に集団的な安全保障の重要性を認識しているようだ。フィリピンは「アメリカと日本ほど頼りになる友人はいない」とアメリカと日本に協力を求め、中国への牽制へ繋げたい考えだろう。現在日本は、軍事的には無視できない存在ではあるが、憲法やその他の制約からフィリピンの期待には答えられないだろうと考えられる。しかしながら、日本の評価として周辺諸国にそのようなイメージがあるのだろう。

 
 フィリピンには元がアメリカの植民地であったこともあり、アメリカ海軍が駐留していた。しかしながら、1992年にアメリカはフィリピンから撤退した。フィリピンからアメリカが撤退した後、中国は活動を活発化させ、フィリピンのミスチーフ礁に上陸した。

 フィリピンは現在、石油採掘などのプロジェクトを活発化させ、実効支配を強化していく姿勢だと考えられる。また、その一方で前述のようにアメリカや日本などと関係を強化させたいようだ。また、アメリカとの軍事演習を行っている。

中国

 現在、軍事費の伸びと同時にこの海域で覇権を強める国が中国だ。しかし、その圧倒的な軍事力とは裏腹に、もし南沙諸島で戦うのなら、「ベトナム・フィリピンと海戦をする準備をし、場合によっては全面戦争」などの紙面が踊る環球時報の記事で、中国は複数の国を相手にすることを想定しているように思えた。

 その中で、「もう一つの利害関係者である中華民国(台湾)と協力できれば事態が変わる。なぜなら台湾はこの海域最大の島である大平島を実効支配しているからだ」という文章が見受けられた。

 おそらく台湾の領有権主張は日本が以前この島を台湾の行政区である高雄の一部として支配していたためか(訪問を行ったのが台湾本土派の民進党の陳氏だった)、中国と同じ理由だと考えられる。そして、1,150mの軍事用滑走路を建設し、ベトナム漁船などとにらみ合っている。

 この新聞では、台湾の現在のスプラトリー情勢をリサーチしている。記事の中には「台海巡護力不足」などと書かれ、まるで自国の事のように報道していた。

 しかしながら、中国もその難しさを認識し、理由を2つ挙げ、1つは台米関係、しかしながら台湾軍内部も"合作"の必要性を認識しているとしていた。2つめは民進党などの台湾本土派と国民党などの中華民国派の争いだそうだ。

 中国は大連の港に留置していた空母、ワイヤリーグを改修し、この海域に派遣するという計画もある。また尖閣諸島と同様に警備艇の派遣を活発に行い、この海域の主権を強めようという狙いがあるようだ。また、海軍の外洋化を促進したい中国は、この海域を抑えて、外洋に展開するという狙いも考えられる。


 

 現在ASEANの当事国の中では中国との外交的な距離感にばらつきがあるものの、議論をさらに上のレベルで行い、表向き平和な解決を各国は目指しているようではある。また米国・ロシアも議論に参加し、米国は当該国の行動の根拠がどのような国際法であるのか明確にするよう求めていた。悪い事態にならぬよう祈るばかりである。

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